新しい教科書
これまでの東ジャーナルでも何度か取り上げたように、2021年度から中学の指導要領が新しくなります。これに伴い、各科目の教科書も新しくなり、区によっては採択される教科書会社も変わります。最近ようやく新しい教科書の具体的な内容が明らかになったのですが、英語の教科書に、全生徒に影響のある問題点があることが分かったので、ここで説明したいと思います。
英語の教科書の問題点
その問題点というは、未習部分(教科書の刷新によって抜け落ちる学習項目)が発生するということです。例えば今まで中2で習っていたある内容が、新指導要領では中1で習うことになったとします。するとその内容は新しい教科書では中1の教科書に載っており、中2の教科書にはありません。しかし、中2の生徒は去年まで旧指導要領で学習していたので、中1の時にはその内容は習っていません。
つまり、いくつかの文法項目で、全ての生徒が習わないまま通り過ぎてしまう事態が発生してしまうということです。これは2020年度と2021年度で同じ教科書会社が採択されたとしても起こる問題ですが、異なる教科書会社が採択される場合、未習部分は各教科書会社によってバラバラです。
塾での対応
これらの未習問題がどれほど知られているかは分かりません。少なくともこの文章を書いている時点(2月中旬)では、この件に関する文科省や東京都教育委員会からの通知や対応はないようです。実は、数学や理科はこれらの新旧教科書のズレに関して、2020年度までにすでに対応していました。これは「移行措置」と呼ばれ、主に教科書の付録的な小冊子を配布して授業を行うという形で実施されました。英語の場合も同じような小冊子が作成されるのかは不明ですが、現場の先生方の負担で対応せざるを得ないのは確実でしょう。しかし、ただでさえ忙しい先生方が、こういった細かい事情を全て把握して、年間の授業予定に組み込み、専用のテキストを準備して授業することは、なかなか難しいと思われます。というのも、上記のように数学と理科はすでに移行措置が取られていたにも関わらず、古いカリキュラムの授業を行っている事例がいくつも見つかっているからです。(例えば、中1の理科から外れたはずの「光合成」や「圧力」などが授業で指導され、定期試験に出題されていた、など)。
当塾では、すでに例年のカリキュラムを一部変更し、未習部分が生じないような年間計画で動いています。(例えば、これまで中3で習っていた「現在完了」を、中2の冬期講習から学習する、中1のうちにbe動詞の過去形まで学習する、など)。とはいえ、中学校の授業や定期試験でどのような扱いをされるのか、まだ分からない部分もあるので、その動向を注意深く見守りながら指導していこうと思います。